はじめに
この記事は、私個人の体験であり特定の宗教を誹謗中傷するものではありません。
宗教的世界観が壊れて苦しんでいる宗教二世に、ほかにも同じ道を歩んだ人がいるというのが分かれば少しは気が楽になるのではないか、また
宗教が嫌いな二世でも、もしかしたら地獄へ落ちて永遠に苦しむのではないかと恐怖心を持っている方々に少しでも力になれたら、、、と思い執筆しました。
神様っているのかな?
神様っているのかな?って疑問思うことありますよね?
まあ、神様って宗教によって色々あるんですが、私が生まれ育った統一教会の教義である創造原理には『神が実在するという証明』が載っているんですよ
えええ~~、すごいですね。ではさっそく統一教会の経典であるこの原理講論を見てみましょう。
統一原理の神
原理講論一章一節:『無形にいます神の神性を、我々はいかにして知ることができるだろうか。それは、被造世界を観察することによって、知ることができる』とあります。
なんかすごい自信だ、ワクワクな予感しますね。
『作品を見てその作者の性稟を知ることができるように、この被造万物を見ることによって神の神性を知ることができるのである。今我々は、神の神性を知るために、被造世界に普遍的に潜んでいる共通の事実を探ってみることにしよう。』
あ~、なるほど、森羅万象を見たら作者である神様がわかるということです。あれ???ここでもう「神を証明」ではなくて「神が万物を造った」を前提に話が進むゾ。論点変わってる!!!まあそのへんは大目に見ておきましょう。
万物は陽と陰で作られている
『存在しているものは、いかなるものであっても、それ自体の内においてばかりでなく、他の存在との間にも、陽性と陰性の二性性相の相対的関係を結ぶことによって、初めて存在するようになるのである。』
素粒子は陽と陰、陽陰の中和でできてて原子作る
原子は陽イオンと陰イオン結合して分子作る
植物は陽(おしべ)陰(めしべ)のによって存続
動物は陽(オス)陰(メス)のによって繁殖、生存
人間も陽(男性)と陰(女性)の関係によって存在する
正確には『すべての植物は各々雄しべと雌しべとによって存続するし、また、すべての動物は各々雄と雌とによって繁殖、生存するのである』と原理にはあります。
つまりここに一つの仮説が生まれます。
仮説『全ての万物が陽と陰で成り立っているので、陽と陰でできた神が作った』
説得力あるじゃないですか。じゃあ本当に全ての被造物は陽と陰で出来てるのか?
本当に陽と陰だけですか?
まずは、実験モデルとして確立されてる有名な例がテトラヒメナ(Tetrahymena thermophila 下図)ですね。みなさんご存じの。これは性別が7つあるんです。
Robinson R (2006) Ciliate Genome Sequence Reveals Unique Features of a Model Eukaryote. PLoS Biol 4(9): e304.doi:10.1371/journal.pbio.0040304 ライセンスCCBY2.5
彼らは普段は無性生殖してるので性は無いんですが、環境からストレス受けると(例として飢餓とか)大核にあるmatA/matBのタンデムリピートに遺伝子組み換えが起こって性別が7つのうちの一つに決定されるんです(論文参照:https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.1001518)。
7つあるんだから3つが陽で4つが陰ですかとかじゃないの?と思われるかもしれませんね。
彼らは接合という有性生殖するので、両方とも平等に遺伝子交換(小核)します。ので7つの性別のうちのどれも陽でも陰でもないんですよ。人間のように片方が遺伝子を与えて(オス/陽性)、もう片方が受ける(メス/陰性)ではないのです。平等にタイプ1~7です。
7つも性別あるのすごいと思いますよね。でも性別がもっとたくさんある種もあります。ミズヒラタムシ(Euplotes crassus)は明確な38種類の性別がある(論文参照:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0003936579800032)ので、もうそのへんは陽とか陰とかどころじゃないです。
Euplotes sp. ライセンスCCBY2.0
『すべての動物は各々雄と雌とによって繁殖、生存するのである』と原理にはありますが、それは現実からかけ離れています。オスとメスだけじゃなくてたくさん性別はあります。そこだけとっても原理は科学的に虚偽です。
あ~、でもさ、それは動物の話でしょ?人間は男と女だけよね? と思われるかもしれないですよね?
人間の陽と陰
原理には『個性真理体は、このように神の二性性相に似た実体として分立されたものであるがゆえに、それらは、神の本性相的男性に似た陽性の実体と、その本形状的女性に似た陰性の実体とに分立される。』とあります。
つまり作者である神が男と女の要素が入ってるから、作品である万物や人間も、
神に似たオス(男性)とメス(女性)になってるということですが、これが事実なら人間は男と女のみです。
ですが、今も昔も自然にある一定の確率で男性でも女性でもない人々が生まれます。
人間の生物学的な性別は性染色体によって決定されます。
え?なんですかそれ?
男性はX染色体1つとY染色体1つ
女性はX染色体2つ持ってます
Turners Syndrome (ターナー症候群)
https://en.wikipedia.org/wiki/Turner_syndrome
確立:5000分の1
キャリオタイプ:X
これは本来女性が二つ持っているX染色体が一つしかないんです。一見女性に見えますが、生理がおこらず、胸も発達せず、腰幅が狭く肩幅が広いのが特徴です。
Johannes Nielsen-http://www.aaa.dk/TURNER/ENGELSK/TURN_ORI.HTM#baby
ライセンス CCBY2.0
Klinefelter Syndrome (クラインフェルター症候群:論文参照:https://ojrd.biomedcentral.com/articles/10.1186/1750-1172-1-42)
確立:500分の1~
キャリオタイプ:XXY(1/500)、XXXY、XXYY(1/17000~1/50000)
これは男性XYや女性XXみたいですが、性染色体が2つ以上つあるんですね。男性っぽいですが、胸が大きくなる、ひげが生えない、指が長い、睾丸が小さい、生殖できないんですね。
ここで、統一原理の陽と陰の二性性相と実際の陽と陰の違いを見てみましょう。
陽と陰の二性性相と現実との比較
図のように神が本陽性と本陰性の主体として存在しているので、その実体としての万物・人間は全て陽性と陰性の二性性相でできているという単純明快で理論的な世界観を、統一原理は主張してるわけですが、、、
現実では、ほとんどの生物は陽と陰の無い無性生殖をしているし、陽と陰関係なしに他の種類から遺伝子を取り入れるという水平伝播も実際にたくさん起こっている。全ての生物は陽と陰でできているわけではないし、または陽と陰以外でも他の生物からさえも遺伝子取り入れられる。すごいですね!
決定的な違いは、『性別が陽と陰の2つ(二性性相)だけでなくてむっちゃ沢山ある』のと『男性と女性以外の不完全な性別をもつ人間が自然に存在する』ということですね。
なぜ、本陽性と本陰性の中和的主体が個性真理体を陽性と陰性の実体として創造したのに、現実では統一原理の通りではないのか?というと…
統一原理が人間が創り出したフィクションだからです。
統一教会二世へのメッセージ
まあ、それなので、結論としては
教会や御父母様が嫌いだけど、原理が真理なのではないか?自分が地獄に落ちるのではないか?
と恐怖心や罪悪感を抱えている二世の方は「原理は数多くの宗教の中の教典の一つであり、人間が考え出したフィクションであるので心配しなくても良い」ですよ~っていうお話です。あなたはぜーったいに地獄には落ちないですし、罪人なんかでもぜんぜんない!!!
知識は我々を恐怖心や罪悪感から解放してくれる力です!
Q&Aコーナー
Q「クラインフェルター症候群とターナー症候群って性染色体の数の異常で病気とされています。
クラインフェルターなら男性の病気、ターナー症候群なら女性の病気ということで、あくまでそれぞれ男性と女性ですよね。病気なのにそれが第3の性別になると考えるのは如何なものでしょう?また特徴を述べてますが、性染色体異常により男性ホルモンが低下し二次性徴に影響を与えた結果なので第3の性別の特徴でもないと思います。」
A. 人間はsexually dimorphicなので性別は男女しかありませんが、人間が男女だけでなくて、男でもおっぱいが大きくなり金玉が萎んでるとか(XXY)女でも肩幅広く生理が無い(X)をもって生まれてくる、それが結構な確率で自然に生まれてくるのです。
病気なのにというのはちょっと違って、染色体異常は有性生殖の副作用でどうしても生まれてくるんですよ。人間だけでなく全ての有性生殖する生物で。
減数分裂するときにnondisjunctionがかなりの確率で起こるので、染色体異常(autosomalな染色体も)はどうしても必ず起こってしまうんです。
つまり、『不完全な性をもつ人間が自然に生まれてくる』というのが
『神の陽性と陰性を分立し実体化し子供として愛したかった神』
という教義と矛盾してるということです。
Q「7つの遺伝子型を「性別」とするのも議論の余地があります」
A. 「有性生殖するmating typeのことを性といいます。
テトラヒメナでは遺伝子群matAとmatBのタンデムリピートの組み換えによって決定されるし、
人間ではXとY染色体上の遺伝子群によって決定されます。」
Q. 「悪霊の仕業、因果応報、先祖の因縁で性染色体異常が起こるのではないか?」
A. 人間だけで無く全ての生物で自然に起こり、堕落したとされる人類始祖の前から人類の先祖にずっと起こっているので、悪霊とかは関係ないですよね。
自然にこのような性が不完全で男性でも女性でもない人々が高確率で生まれると言うことは、原理はフィクションであるということです
Q. 「陽陰は生物の次元によって現れ方が異なるので、下等な生物にいくつ性別があっても関係ないのでは?」
A.「陽陰は生物の次元によって現れ方が異る」=「普遍的な真理ではなくて限定的な現象を説明する仮説」であり、それって
原理講論に書いてあるような「永遠不変な天宙の真理」という主張と反していますよね?ごく限定された生物に現れる規則性であって普遍的でもなんでもないんじゃ?
Tea
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