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宗教2世の抱える葛藤に寄り添った、支援者としての在り方

更新日:2020年5月7日


はじめに

宗教二世の抱える問題に関して、うっすらと何とかできないのかと感じていました。


そんな時、Twitterを開いて実際に様々な心境を抱えて生きている二世に触れることで、まずは私が考えていることを発信したい、と思ったので綴ってみようと思います。


宗教2世の生育過程

まず、宗教二世に関して忘れてはいけないことは、

本人が意識する前に信仰の道を歩まされている環境にあるということです。


家庭内教育として宗教の教えを子どもへ伝え、二世自身の意識がないうちから礼拝や集会などに参加することによって、それがその人にとっての常識となって育っていきます。



もちろん、どの宗教にとっても道徳的に学ぶ内容や感動する内容はあると思います。しかし、本人が望む前に、親からその道を行って欲しいと大きな期待を受けながら生きて行くことは、本人にとっての自由を奪ってしまうことになりはしないだろうか、と思います。


例えば、学生時代において親が宗教に没頭していると、献金などをしていることから経済的に困窮しており、本人のやりたいことよりも、経済的に行ける学校が絞られてしまうことが考えられます。


それだけでなく、教会のイベントを優先させることを強く親や教団の教育者に言われたり、宗教の活動をする上で外からの情報を断つようにする教育方針などから、部活動やそれ以外でもあらゆる人間関係の制限があったりします


人間関係の制限は友人だけに留まらず、恋愛の制限、そしてゆくゆくは教団の中の人と結婚することでしか幸せになれない、といったような、人生に関わる内容も含んでいることもあります。これは、宗教二世にしか分からない多くの葛藤の種になると考えています。



そういった様々な制限に疑問や生きづらさを感じながらも、教団の中で自分と近い年齢の友人ができたり、イベントなどを通して一体化を味わったり、好意的に接してくれる人との関わりもあり、ある一定のところまでは教えの通りに生きようと努力する人も多いのではないかと思います。


しかし、義務教育を終え、高校、大学など進学していく過程や、社会生活をするにつれて色んな人と触れ合う機会ができたり、様々な経験から二世の感情や思考は成長していきます。



そうした中で、二世であることに対して、もしかしたらそこまでの制約があるにも関わらず生き抜いてきたという誇らしい気持ちを人によっては持ちうるかもしれないけれど、


人によっては否定的な気持ちや疑問だけでなく、

どこか人生に関して考えることを放棄してしまったり、

希望が見えなくなっていくような心の状態が生まれてくるのではないかとも考えられます。



相談相手の不在

そのような時に、ふと感じた気持ちを共有する場所や相談相手が教団の中に充分に備わった環境ではないことも問題であると考えています。


そして、一見ケアリングをしている環境があるようにみえても、そこでの話はどの人が話しても教義を用いての同じような内容であり、二世本人を見て親身に話を聴いたり、話したりする環境が少ないように思います。


そういった環境に置かれた二世は、共感されるどころかそれぞれの教義によって説き伏せられる体験を繰り返し、自己肯定感や自尊心が低くなってしまう一因となるばかりでなく、精神的な問題が顕在化していくことにも繋がっていくことが懸念されます。



教団からいち早く離れることだけが解決法ではない

さて、そういった宗教二世にとって、行き場のない感情が膨れ上がり宗教が無い方が幸せなのではないか、と考える人もいると思います。


しかし、本人の中でその感情が膨れ上がったとしても、生まれてから長年に渡って関わってきた人がいたり、仲の良い友人がいたり、何より家族の存在があるということから、脱会することは並大抵の決断では決してできることではないとも考えられます。


それだけでなく、個人の判断で脱会しても家族、友人との縁が途切れることで孤独感に悩むケースもあることや、家族を悲しませ困らせることにも繋がることで罪悪感を抱えてしまうケースも多くあるのではないかと考えられます。



2世を助けたい皆さんへ

そうしたことからもし宗教二世の問題に対して支援したいという気持ちがあるのであれば、


『脱会に関してあえてグレーな立場にいる方が助かる人もいる』というのが現状であり、

そもそも『教団に戻るか離れるかは二世本人の意思を尊重するべき』だということを念頭に置いておく必要性があると感じています。



その上で、1人1人の置かれている環境はそれぞれ異なっているため、一概に問題解決の糸口を提示することはできないのですが、


複雑に絡み合う感情や環境を理解した上で、二世の話を真っ直ぐ聴き、本当に望むことは何なのか、ということについて、


本人の中から引き出せる関わりを第一に考えた接し方をして欲しいと心から願うし、私自身もそうでありたいと思っています。



ベル



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